ビジネスメールにおいて、出だしの文章はもちろん大切になってきますが、結びとなる締めの言葉も気をつけなければなりません。せっかく出だしや本文がいい文章だとしても、文末でこれまでのマナーを覆すような表現を使ってしまった場合、相手に悪い印象を与えることもあります。
そこで本記事では、ビジネスメール文末の結び・締めの例文をシーン別に徹底紹介。ご参考になりましたら幸いです。
ビジネスメールにおける文末の結び・締めのマナー
文末の表現はメール内容で変えること
文末はビジネスメールのやり取りで表現方法が変わってきます。
例えば、他社と協力して行ってきたプロジェクトが何らかの理由で中止・延期になった時のメールがあったとします。この時、今までの苦労ややりとりが全て無駄になってしまうような状況なので、相手に気を使いつつ、今後の付き合いを継続させていけるような締めの文章を書かなければなりません。
文末の結びでよくあるテンプレートのように、「以上、よろしくお願い致します。」で締めがちですが、状況や相手の気持を考えつつ、今までのやりとりを踏まえた上での締めの文章を考える必要があります。
「お願い」のメールは締めの文章を慎重に
先程のよくあるテンプレートのように、「以上、よろしくお願い致します。」の言葉を、相手に「お願いする立場」で使うのは、少々ぶっきらぼうに相手は感じます。例えば、資料を送ってもらいたい時に、「資料を送付ください。以上、よろしくお願い致します。」と書くと、相手からは少し嫌な感じに取られてしまうでしょう。
こういった「お願い事」をする時は、一つクッションを挟むことをオススメします。
例えば、「お手数おかけしますが」、「大変恐縮ですが」、「お忙しいところ大変申し訳ありませんが」の言葉を、「よろしくお願い致します」の前に置くと、命令口調から少し柔らかい表現になります。何かを相手にお願いする時は、一つクッション言葉を置いてから文末の結びを書きましょう。
文末に「署名」を必ず入れる
ビジネスメール文末の最後には、「署名」をつけるのが一般的な常識となります。
署名には、会社名、氏名、メールアドレス、電話番号を最低限記載し、住所や郵便番号、会社ホームページのURLを加えることもあります。イメージとしては、署名は名刺だと思ってください。
顧客とメールで取引する際や、初めての相手にメールを送る場合は、相手のことを知るために会社ホームページや実在する住所なのかを調べることもあります。また、メールだけでなく電話でやりとりしたい時もあるので、相互の連絡先を複数持っていると何かと便利になります。
署名がなければ「気が利いていない人」と相手から思われることもあるので、必ずメーラーの設定から文末の最後に署名が入るように調整してください。
シーン別に紹介!ビジネスメール文末の締め・結び7つの例文
文末の最後に使える基本のフレーズ
- 今後ともよろしくお願い致します。
- 今後とも宜しくお願い申し上げます。
- 今後とも何卒よろしくお願い致します。
- 今後ともどうぞよろしくお願い致します。
- 今後とも変わらぬお引き立てのほど、よろしくお願い申し上げます。
文末の最後の最後に使える基本フレーズの例文となります。締めの文章が上記だけだと味気ない言葉になってしまうので、加えて感謝の言葉を示すフレーズなどを前文として使うことで、より良い締め・結びの文章になります。
感謝・お礼を伝える締め・結びの言葉
- ◯◯して頂き、ありがとうございます。
- ◯◯頂いており、ありがたく存じます。
- ◯◯、厚く御礼申し上げます。
- ◯◯、心より感謝申し上げます。
相手への感謝やお礼を示す締めの言葉を書く際のコツは、まず初めに感謝できる点を示してください。例えば、相手から何かしらの提案を受けた場合、「貴重なご提案を頂き、ありがとうございます。」と締めのフレーズを考えることができます。
依頼・お願い・確認に対する締め・結びの言葉
- お忙しいところ大変申し訳ありませんが、◯◯。
- お手数おかけしますが、◯◯。
- 大変恐縮ですが、◯◯。
- ご対応のほど、よろしくお願い致します。
何かしらの依頼をする場合は、文末の基本フレーズの前にクッション言葉を置くと表現が柔らかくなり、相手からの印象も良くなります。あくまでもこちらが依頼する立場なので、相手に失礼のない締め・結びの言葉を心がけましょう。
質問・相談の締め・結びの言葉
- ご確認頂けましたら幸いです。
- ご回答いただけますようお願い致します。
- ご返答頂けましたら幸いです。
質問や相談のフレーズを使う際に、「ご回答ください」や「確認してください」のようなフレーズを使ってしまうと、少し高圧的な印象になってしまいます。そのため、それらをお願いする時の書き方に変えると表現が和らぎます。
また、クッション言葉として、「お手数おかけしますが」、「大変恐縮ですが」といったフレーズを前に置くと良いでしょう。例えば、「お手数おかけしますが、ご確認頂けましたら幸いです。」のほうがより丁寧になります。
返答・回答の締め・結びの言葉
- ご不明点などありましたらお問い合わせください。
- 以上、ご回答申し上げます。
質問や相談に対する返答・回答をする時に気をつけたいのは、相手に回答内容がしっかりと伝わったかどうか。基本的に返答する段階ではどちらかわからないので、「不明点などがあったらもう一度返信してください」の意味合いを込めたフレーズを使うのが良いでしょう。
お詫び・謝罪の締め・結びの言葉
- この度はご迷惑をおかけして申し訳ありません。
- 心よりお詫び申し上げます。
- ◯◯できなく、申し訳ありませんでした。
- お許しくださいますようお願い致します。
- ご期待に添えず申し訳ありません。
- お手数おかけして、申し訳ございません。
お詫びや謝罪のフレーズは、例としてあげた言葉だけにとどまりません。大事なのは、しっかりと相手に謝罪の気持ちを伝えられるかどうかなので、失礼のない言葉であれば形式に捕われる必要はありません。ただし、「申し訳ない」「反省している」ことが伝わる言葉は必ず入れるようにしましょう。
社内メールの締め・結びの言葉
- よろしくお願い致します。
- ご検討ください。
- お返事いただけると幸いです。
- ご教示願えれば幸いです。
- ご一読お願い致します。
社内の人間にメールを送る場合は、そこまで畏まった締めの文章を使う必要はありません。最低限失礼のない言葉を使い、それよりも本文の内容を精査したほうが良いと言えます。
よくある「以上」「取り急ぎ」などのフレーズは使うべきではない?
ビジネスメールを相手から受け取った時によく見かけるのが、「以上」や「取り急ぎ」のようなフレーズ。「以上、よろしくお願い致します」や「取り急ぎ失礼します」という言葉を見たことはないでしょうか。
よく文末に使われるフレーズではありますが、これらの言葉は本当に使っても良いのかをご説明します。
「以上」は使うシーンを選ぶ
「以上、◯◯。」というフレーズはビジネスシーンにおいて使っても問題ありません。「以上」は、ビジネスシーンにおいて、メール内容はここで終わり、という意味合いで使われるようになっています。
しかし、「以上。」で締めくくるのは避けてください。相手から見ると、「ぶっきらぼう」「ちょっと機嫌でも悪いのかな」と印象をもたれやすいからです。
もしも「以上」の代わりに使うフレーズがあるとすれば、「今後とも」「どうぞ」「引き続き」といった結びになります。「以上」だけだとワンパターンになりがちなので、他3つの結びを使い分けてみてください。
「取り急ぎ」は本当に急いでいる時に使う
「取り急ぎ、失礼します。」というフレーズをよく見かけると思います。本来ならばあまり使うべき言葉ではありません。
特別急ぎでもないメールに「取り急ぎ」を使っていると、相手からは「この人いつも忙しいんだな。メールもとりあえず急ぎで書いたものだな。」と思われがちです。特に、相手に謝罪するメールや相談する時のメールに「取り急ぎ」を使うのは失礼に当たりますし、長文メールの文末に使うのも違和感を覚えます。
そのため、基本的に「取り急ぎ」という言葉は、本当に急いでいる時だけ使ったほうが良いでしょう。もしくは、別の言葉を使ったほうが、相手からの印象も悪くないと言えます。