「固い・堅い・硬い」の違いと使い分け/強度に違いはあるのか?

変化や動揺をうけにくくしっかりとした状態のことを「固い」「硬い」「堅い」と表現します。

では、それぞれにはどのような意味があるのか、どのような違いがあるのかご存知でしょうか。本記事では「固い」「硬い」「堅い」の意味や違い、使い分けについてご紹介していきます。

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「固い」「硬い」「堅い」の意味

広辞苑では、「固い」「硬い」「堅い」は次のように定義されています。

①物の質が強くしっかりしている。丈夫である。こわれにくい。[固い/硬い]
②物と物とがしっかり結合して離れにくい。ゆるみなく、すきまがない。[固い/堅い]
③変わることなく、たしかである。確実である。[固い・堅い]
④きびしい。強い。[固い・堅い]
⑤操行が正しい。信用がおける。[固い・堅い]
⑥かたくるしい。 [固い/硬い]
⑦頑固である。融通がきかない。[固い/硬い]
⑧緊張して動きになめらかさがない。ぎこちない。[硬い]
⑨(取引用語)相場が容易に下落する模様がない。[固い・堅い]

「広辞苑」より引用

いずれも似たような意味を含んでいることがわかります。

これらの意味を踏まえ、次は「固い」「硬い」「堅い」がどのように使い分けされているのかをご紹介していきます。

「固い」「硬い」「堅い」の違い/使い分け

まず初めに、「固い」「硬い」「堅い」の例文を見比べてみましょう。

  • 「固い」:友人は頭が固いので、いくら説明をしても無駄だ。
  • 「硬い」:このステーキは硬すぎて、なかなか噛み切ることができない。
  • 「堅い」:相手チームは守備が堅いことで有名だ。

例文から見ると、やや使い方が違うことに気付けるかと思います。下記より一つずつ解説をしていきます。

「固い」は丈夫でしっかりしていること

「固い」の意味合いは、「物の形状が変わりにくい状態」であるという意味の他に「人や物のつながりが強いさま」「決意が簡単に揺るがないさま」「融通がきかないさま」という意味が含まれています。

また、「固い」という字は使用する場面が多い言葉でもあります。多くの人がこの言葉の使いどころに迷うかもしれません。

そこで「固い」の反対語に着目してみましょう。「固い」の反対語には「緩い」という言葉が含まれており、その点から「物と物がしっかりと結合して離れにくい」というニュアンスをとることができます。

「硬い」は丈夫で形状が変化しにくいこと

「硬い」には「物が力を加えられても、簡単には形状を変えないという意味が含まれています。その他に「ぎこちない様子」や「自分の考えに固執する」といった意味もあります。

固いと似たような意味がありますが、硬いには「石」という字が含まれています。このことから、「簡単に形が変わらないかたさ」という解釈をとることができます。

また、反対語から考えると「柔らかい」「軟らかい」になります。これらを考慮すると「物理的な力の影響を受けにくい状態」と「ぎこちない様子」を表現する際の使用に適していると言えます。

「堅い」は繋がりが強いこと

「堅い」という言葉には「つながりが強い」「信用できるさま」という意味合いが含まれています。

こちらも同様に反対語から見ると、「もろい」「柔らかい」「軟らかい」といったものになります。「もろい」という言葉からわかるように、「堅い」には「すぐには崩れたりしない安定さ」という解釈をすることができます。

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「固い・硬い・堅い」の用法例

では、実際に「固い」「硬い」「堅い」はどのような場合に使用するのか、例文を交えてご紹介します。

「固い」を使った例文

  • 友情という名の固い絆。
  • 結び目が固くて解けない。

「硬い」を使った例文

  • ダイヤモンドはもっとも硬い鉱石だ。
  • この小説家の文章は硬い表現が多い。

「堅い」を使った例文

  • 敵陣の守りは堅く、簡単には攻め入ることができない。
  • 身持ちが堅い。

「固い」「硬い」「堅い」の違いのまとめ

以上、「固い」「硬い」「堅い」の違いについての紹介でした。最後に、記事のまとめになります。

「固い」
反対語:緩い
意味:まとまりがあってしっかりと固まっている状態
「硬い」
反対語:軟らかい
意味:力の影響を受けにくい状態、力強い様子、こわばってぎこちない様子
「堅い」
反対語:もろい
意味:中身がしっかりと詰まっている様子

強度という意味ではそこまで大きな違いはありませんが、繋がりの強さなどがそれぞれの言葉で異なります。是非この記事を参考に、正しい使い分けをしてもらえたら幸いです。

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