「戦略」「戦術」の違い/適切な使い分けと用法例

勝ち残るために策を講じるという意味で使われる「戦略」と「戦術」。この二つの言葉に、明確な違いはあるのでしょうか。

  • 「戦略」:戦術より広範な作戦計画。各種の戦闘を総合し、戦争を全局的に運用する方法。転じて、政治・社会運動などで、主要な敵とそれに対応すべき味方との配置を定めることをいう。
  • 「戦術」:戦闘実行上の方策。一個の戦闘における戦闘力の使用法。一般に戦略に従属。転じて、ある目的を達成するための方法。

引用:広辞苑

上記の意味を踏まえて、本記事では「戦略」と「戦術」の違いや使い分けについてご紹介していきます。

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「戦略」「戦術」の違いと使い分け

まずは例文を見てみましょう。

  • 我が社の事業拡大を見据えた、販売戦略を立てなくてはならない。
  • 売上が低迷に陥った際の、役員の戦術はとても見事なものだった。

言葉の意味自体は似ているように思いますが、1つだけ明確な違いがあります。

「戦略」は将来を見据えた上での計画、目標のこと

「戦略」は、多角的に物事を捉えたうえで中長期的に掲げる計画や目標のことを表します。

簡単な例を挙げますと、企業でいえば社長やトップが決めた目標、だとイメージしてください。「ここのビジネスには市場参入者が少ない。現在5店舗だが、5年後には全国的に100店舗の展開を目指す」など、現状を取り巻く市場や経済状況を踏まえた上で、長期的な目標を立てることを「戦略」だと覚えておけば分かりやすいでしょう。

「戦術」は、戦略で決められた目標達成のために具体的な策を練ること

一方「戦術」は、「戦略」に基づいて具体的に実行するための方策のことを表す言葉です。

先ほど「戦略」で挙げた例でいくと、「5年後までに全国的に100店舗を展開する」ためには、具体的な方法を考えて実行してくことを指します。企業でいえば、営業部長や経理部長などのセクションのトップが、社長から受けた戦略に向けて考えていく、とイメージすれば分かりやすいです。

「戦略」「戦術」の用法例

「戦略」の使い方 / 例文

  • 各戦国武将の戦略は、それぞれ見事なものだった。
  • 我が社の事業拡大を見据えた、販売戦略を立てなくてはならない。

「戦術」の使い方 / 例文

  • 売上が低迷に陥った際の、営業統括の戦術はとても見事なものだった。
  • 災害復興など、現場に多く人を送り込む、人海戦術が用いられることが多い。

「戦略」「戦術」の違いまとめ

「戦略」と「戦術」の違いについてご紹介してきました。

  • 「戦略」は将来を見据えた上での中長期的な計画、目標のこと
  • 「戦術」は戦略で決められた目標達成のために具体的な策を練ること

「戦略」は広範囲にわたる計画のこと、「戦術」は「戦略」に基づいた計画に向けて具体的な策を考えること、とそれぞれポイントを押さえておけば覚えやすいでしょう。

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