「しめすへん」「ころもへん」の違い

「しめすへん」「ころもへん」の違い/由来と使い分けのコツ

「裕、複」や「祐、福」などの漢字を書く際、部首は「しめすへん」なのか、それとも「ころもへん」なのかで迷ったことはありませんか?

また、「しめすへん」と「ころもへん」の部首が類似しているため、どっちなのか分からない、という方も多いのではないでしょうか。今の時代、パソコンやスマートフォンであれば変換予測で簡単に出てはきますが、いざという時に知っておきたいもの。

それぞれの部首のポイントを押さえておけば、簡単に分かるようになります。そこで本記事では、「しめすへん」と「ころもへん」の見分け方から違いや由来についてご紹介していきます。

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「しめすへん」「ころもへん」それぞれの由来と使い分けのコツ

それぞれの由来をご紹介する前に、「しめすへん」と「ころもへん」のどちらが「ネ」、「ネに点(裕、複など)」なのか使い分けのコツをお伝えします。それは、部首の「示(しめ・す)」と「衣(ころも)」の画数から1画マイナスしたものが部首名、だと覚えれば簡単です。

  • 「示(す)」は5画なので、そこから-1画=4画となります。「礼、社」の左側部首の「ネ」は4画なので、しめすへん。
  • 「衣」は6画なので、1画マイナスすると5画になります。「祐、複」の部首は「ネ+点」で5画となるのでころもへん。

このように覚えれば、「しめすへん」と「ころもへん」がどちらなのかわかると思います。色々な覚え方はありますが、その内の一つとして覚えておくと便利です。

上記を踏まえ、ここからはそれぞれの由来についてご説明していきます。

「しめすへん」は「神様」に関わる言葉を表したことが由来

「しめすへん」は、「祇、祠」などの漢字にある通り、はじめは「示」という漢字が部首として使われていました。それが、現代に合わせて「ネ」に変化し、それを標準として二通りの部首が使用されるようになったのです。例えば、もともと神様の「神」は「神」と表現されていましたが、現在では標準化され「神」という漢字が使われています。

さて、由来に関しては「祇、祠、禅」など「神様」に関わる言葉を漢字で表すようになったのが始まりだと言われています。京都で行われる神社のお祭り「祇園祭」や神様を祀っている「祠」など、すべて神様に関係している言葉ですね。

そのためしめすへんが進化して「ネ」となっても、「神、礼、祝い、祈り」などやはり神様に関係していることが分かります。

「ころもへん」は「衣服」に関わる言葉を表したことが由来

一方で「ころもへん」はその名の通り「衣」、つまり衣服に関わる言葉として多く使われています。

例えば、「袖、襟、被」など左側に部首がある漢字、「表、袋、裏」など下に部首がある漢字など様々ですが、これらをすべて含めて「ころもへん」と呼びます。

由来としては、「衣」は元々象形文字から成り立ったもので、その意味するところは「襟もとを合わせた衣の形」と言われています。ここから「衣=身を纏うもの」とされ、様々な衣服に関する言葉に変化していきました。

ここで、「表、袋、裏」などの漢字は衣に関係ないのでは、と思われるかもしれません。しかし、ルーツをたどれば

表=上着
袋=衣服に使用する布で作られた袋
裏=衣服の裏側

というように、「衣」を語源とした漢字であることが分かります。

「しめすへん」と「ころもへん」違いまとめ

「しめすへん」と「ころもへん」の由来や違いについてご説明してきました。

まとめると、

  • 「しめすへん」:「神様」に関わる文字を表したことが由来
  • 「ころもへん」:「衣服」に関わる漢字を表したことが由来

となります。また、一見関係のなさそうな漢字でも、語源をたどると関連性があるのです。

また「しめすへん」と「ころもへん」、どちらが「ネ」か「ネ+点」なのかは、元々の漢字「示(す)(5画)」と「衣(6画)」の画数から1画引いたもの、と覚えておきましょう。

この部首が使われている漢字を見たときは、ぜひ上記のポイントを踏まえて見てみてください。新しい発見があるかもしれません。

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