「飢饉」「飢餓」の違い/使い分けと用法例

「飢え」を表す「飢饉」と「飢餓」という言葉。昔、日本史の授業で「江戸時代には飢饉が起きた」と学んだ方も多いかと思います。一方で、お腹がとても空いたときに「飢餓状態」と表現する方もいますが「飢饉」と「飢餓」、その違いはなんでしょうか。

  • 「飢饉」:農作物がみのらず、食物が欠乏して、飢え苦しむこと。食物以外でも必要な物資がいちじるしく不足する場合にいう。
  • 「飢餓」:うえること。うえ。一時的・地域的現象である飢饉と対比して、永続的・慢性的な食糧不足や低栄養状態にいう場合もある。

引用:広辞苑

この意味を踏まえて本記事では、「飢饉」と「飢餓」の違いや使い分けをご紹介していきます。

「飢饉」と「飢餓」の違いと使い分け

まずは実際に、「飢饉」と「飢餓」を使った例文を見てみましょう。

  • 江戸時代には悪天候等の要因により農作物が育たず、飢饉が起きた
  • 世界には、飢餓で苦しむ恵まれない子どもがたくさんいる

いずれの言葉も「飢え」につながる言葉のため、使い分けが難しいと思いますが、明白な違いがあります。

自然災害による一時的な飢えの場合は「飢饉」

「飢饉」は社会的に生じる一過性の現象のことを表現しています。つまり、永遠に続く問題ではないということです。

もう一つの違いとしては、「飢え」を生じるきっかけが「飢餓」とは異なっていることです。「飢饉」は、天災や干ばつなど悪天候によって引き起こされ、農作物が育たず不足することを言い表しています。自然災害が引き金の場合は「飢饉」であると覚えておきましょう。

国家的問題による長期的な飢えの場合は「飢餓」

「飢餓」は長期にわたって生じている「飢え」の問題を指しています。たとえば、中央アフリカのコンゴ民主共和国や南スーダンなどで起きている紛争による「飢餓問題」。なかには20年以上にわたり今現在も続いている紛争や、一応終結はしたものの、その後も影響が続き再建に至らないなど、すぐには解決できない問題に係る「飢え」の状況を「飢餓」と表現します。

つまり「飢餓」が起こる理由としては、貧困や戦争など国際問題が引き金となり、食糧不足が続くことを指し、ときには命に関わるほどの栄養失調状態のことをも表現します。

「飢饉」「飢餓」の用法例

「飢饉」の使い方/例文

  • 大飢饉をきっかけに起きたのが大塩平八郎の乱だ
  • 農作物が育たず飢饉が起きて、結果的にたくさんの餓死者が出た

「飢餓」の使い方/例文

  • 発展途上国の飢餓問題は極めて深刻だ
  • 飢餓による死者数は一日に2万人以上と言われている

「飢饉」「飢餓」の違いまとめ

「飢饉」と「飢餓」の違いや使い方についてご紹介してきました。

  • 「飢饉」は、干ばつや洪水など自然災害によって引き起こされる一時的な問題を表すのが「飢饉」
  • 「飢餓」とは、紛争など国際問題によって引き起こされ、長期的に続く問題で、ときには命に関わるレベルを表現する言葉が「飢餓」

「飢え」という意味は一緒なのですが、きっかけと短期・長期など期間によって違いがあるので覚えておきましょう。

現代の日本は飽食時代と言われているので馴染みがない言葉かもしれませんが、世界には紛争などで恵まれない方が多くいることを念頭におき、日々の食事に感謝してみるのも良いかもしれませんね。