「栄養」「滋養」の違い/使い分けと用法例

普段、よく耳にする「栄養」と「滋養」という言葉ですが、一体何が違うのでしょうか。意外と知らない「栄養」と「滋養」の違いは次の通りです。

  • 「栄養」:生物が生命を保ち活動するために体外から物質をとりいれる働き。また、それに必要な成分。
  • 「滋養」:体の栄養になること。また、そのもの。

引用:明鏡国語辞典

この意味を踏まえて本記事では、「栄養」と「滋養」の違いや使い分けをご紹介していきます。

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「栄養」「滋養」の違いと使い分け

実際に「栄養」と「滋養」を使った例文を見てましょう。

  • 夏バテ防止に栄養満点の料理をつくる
  • 滋養強壮におすすめの薬

「栄養」とは生命を維持することを目的に生物が物質を摂取したり代謝したりしてエネルギーを得ることです。私たちは健康や生命を保つために日頃、食事から糖質・脂肪・たんぱく質・ミネラル・ビタミンの五大栄養素を摂取しています。栄養素を取り入れると「筋肉・血液・骨など体の組織をつくる」「エネルギー源になる」「体の機能を調節する」という働きをします。生物は栄養を摂取し生命や健康を維持していますので、栄養素を取り入れない状態が続くと生命の危機となります。そうならないように、不足しがちな栄養を補給してくれる「栄養機能食品」や、学校や病院などで栄養管理や食生活の指導をしてくれる「栄養士」という職業や物などが存在します。

一方「滋養」とは体の栄養になることやそのものを指し、疲労回復などを目的に体のなかに栄養となるものを補給することを言います。「栄養」と大きく異なる点は、栄養素に関する分析・研究する「栄養学」や栄養について指導をする「栄養士」というものが存在するのに対し、体の栄養となるそのものを意味する「滋養」には「滋養学」や「滋養士」は存在しません。

疲労や栄養不足などを改善するときに飲む薬には、疲労回復のためい素早く栄養補給する「栄養ドリンク」や、食事で十分に摂取できない栄養素を補助的に飲む「栄養剤」、栄養補給や疲労回復をはじめ、虚弱体質や食欲不振、免疫力アップなどに効果がある「滋養強壮剤」などがあります。素早く栄養を補給する行為は一緒ですが、摂取する目的や効能が異なります。

「栄養」「滋養」の用法例

「栄養」の使い方 / 例文

  • ダイエットが原因で栄養失調になった
  • 体のために栄養のバランスを考えて食事をしている

「滋養」の使い方 / 例文

  • 体にいいものをたくさん食べて滋養を摂った
  • 滋養の多い食品を購入した

「栄養」「滋養」の違いまとめ

「栄養」と「滋養」の違いや使い方についてご紹介していきました。

  • 「栄養」:生物が生命を保ち活動するために体外から物質をとりいれる働き。また、それに必要な成分。
  • 「滋養」:体の栄養になること。また、そのもの。

「栄養」とは健康や生命を維持するために対外から必要な成分をとりいれることで、「滋養」はからだの栄養となるもののことをいいます。「栄養」と「滋養」の大きな違いは、栄養について学んだり指導したりする分野がある「栄養」に対し、体の栄養となるそのものを指す「滋養」には学んだり指導したりする分野はありません。

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