「~すら」と「~さえ」は似たような言葉であり、どちらも助詞として使われます。しかし、助詞といってもそれぞれに違いがあり、一般的に次のように分類されています。
- 「~すら」:系助詞
- 「~さえ」:副助詞
それぞれの助詞の意味を踏まえ、「~すら」「~さえ」の違いや使い分けをもっと詳しく解説していきます。
「~すら/さえ」の違いと使い分け
「~すら」と「~さえ」の違いは、「対象をどのように見ているか。ある程度物事が確定されているか。」にあります。例えになりますが、次のような文章があったとします。
- 君ですら駄目なのか
- 君でさえ駄目なのか
「~すら」の場合、結果がある程度わかっている、断られるだろうなという思いを含ませた文章になります。しかし、「~さえ」の場合は、期待してはいないけどもしかしたら…、と少し想像を膨らませる事ができるでしょう。
これらの事例を踏まえた上で、「~すら」と「~さえ」の意味を紹介します。
「~すら」の意味
係助詞として使われる「~すら」は、文末の最後まで影響を及ぼす結びの助詞として使われます。主に、言葉を強調するために用いられる係助詞で、「~すら」は次のような意味を持っています。(出典:広辞苑)
- そうなるのが当然と思われる事例を挙げ、他もそうなることを推測させる意を表す
- 事が及んだ極端な事態である意を表す
「君ですら駄目なのか」は1番の意味として使われます。「~すら」は少し限定的で及ぼす範囲が狭い時に使われることが多いです。
「~さえ」の意味
一方の「~さえ」という副助詞は、文中の言葉に様々な意味を加える表現となり、一言で「これだ!」という使い方ができない助詞です。そのため、「~さえ」という副助詞は色々な意味を持ちます。(出典:広辞苑)
- 現在有る作用・状態の程度が加わったり、範囲が広まったりする意を表す
- 程度の軽いものを挙げて、それ以上のものを推測させる
- 仮定条件を表す句の中に用い、そのことだけで条件が満たされ他は不問にする意を表す
「~さえ」は使い方が3種類あり、それぞれ広い意味で用いることができます。そのため、「~すら」で言い換えることができない文章を作成することも可能です。
「~すら/さえ」の用法例
「~すら」の使い方 / 例文
- 君はメール一つすら書けないのか
- 恋人の性格、容姿、髪ですら美しく感じる
- これはあなたですら出来る仕事
「~さえ」の使い方 / 例文
- 仕事さえなければ出かけられるのに
- 小学生でさえ解ける問題です
- ここでお金さえあったら億万長者になれたのに
ここで気づいたかもしれませんが、1番と3番は「~さえ」に置き換えて表現することができません。よって、利用できる範囲は「~さえ」のほうが広いことがわかります。
「~すら/さえ」の違いまとめ
「~すら」と「~さえ」の違いや使い分けは非常に難しいです。冒頭で係助詞と副助詞が大きな違いとは書きましたが、改めて整理すると、次のように分類することも出来ると思います。
- 「~すら」:ある程度未来の出来事が確定しているのを推測させる
- 「~さえ」:上記を含み、かつ「~すら」で表現できない文章で用いる
広い意味で使えるのは「~でさえ」で、ほぼ意味も同じです。用法に迷ったときは「~でさえ」を使うのが良いと思います。
参考書籍:広辞苑