寂しい・淋しいの違い/それぞれの意味と使い分け方法

感情表現の一つとして用いられる「さびしい」。しかし、これには二つの漢字に変換することができます。それが「寂しい」と「淋しい」です。

さびし・い【寂しい・淋しい】
〔形〕[文]さび・し(シク)
本来あった活気や生気が失われて荒涼としていると感じ、物足りなく感じる意。

「広辞苑」より引用

実際に広辞苑で調べてみても、同様の語句として扱われています。この記事では、「寂しい」と「淋しい」に違いがあるのか、どんな意味を持っているのか、どのようにして使い分けるのかをご紹介したいと思います。

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「寂しい」「淋しい」の共通点と違い

「寂しい」と「淋しい」はともに心情を表す言葉です。物悲しく、心細い様子を表します。

「さびしい」を掘り下げてみると、以下の意味を持っています。

  1. もとの活気が失せて荒廃した感じがする。
  2. 欲しい対象が欠けていて物足りない。満たされない。
  3. 孤独がひしひしと感じられる。
  4. にぎやかでない。ひっそりとして心細い。

「広辞苑」より引用

どちらも悲しみを表したものであることがわかります。では、どのように使い分けるのかを以下でご紹介していきます。

「寂しい」はかなしい様子を指す言葉

「寂しい」の「寂」だけに注目してみましょう。

この漢字は仏語を表した言葉の一つとして用いられており、仏道の修行により、生死越した悟りの境地に入ることを意味します。

また、その他に「ひっそりと静かなさま」という意味や「さびしい」といった「趣」や「情景」を表現する言葉としても使用され、心を満たされない物悲しい様子を表しています。

「淋しい」は水が滴る様子を指す言葉

同じように「淋」という時を調べてみましょう。

「淋」には降り続く雨のことを指し、水が絶えず滴り落ちる様を表す言葉として用いられています。

この漢字にはもともと「さみしい」という意味は含まれていませんでした。しかし、水が滴る様子を涙に例えた比喩表現として、日本で使われるようになったのです。

「寂しい」「淋しい」の用法例

どちらも悲しみを表す表現であっても、漢字だけを見るとやや違った意味を見ることができます。

では、実際にどのように使用すればいいのでしょうか。例文を交えてご紹介していきます。

「寂しい」は情景を指す時に使う言葉

「寂しい」には、ひっそりと静かな様という意味が含まれており、何もないが故に悲しみを感じてしまうという意味合いになります。

このことから、悲しみを感じる状況である場合に「寂しい」を使うのが正しい用法です。

また、「寂」という字には「趣」や「情景」という意味が含まれていると上述しましたが、つまり「寂しい」はその場の状況の様子だけでなく、感情を表すときにも使用することができます。

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「寂しい」の例文

  • 夕暮れ時の町並みに、どことなく寂しさを感じる。
  • 寂しそうな雰囲気だ。

「淋しい」は主観的な感情を指す言葉

「淋しい」は主観的な感情などを表現する時に使用する言葉です。誰かを思って涙が溢れるような気持ちを表した時に使用するのが適切です。

例えば家に帰っても誰もいなく、孤独に物悲しさを感じた時などには「淋しい」を使うのがいいでしょう。

「淋しい」の例文

  • 遠く離れた恋人に会えず淋しい。
  • 誰も相手をしてくれなくて淋しい。

「淋しい」は常用漢字ではない

「寂しい」と「淋しい」には常用漢字かどうかという違いもあります。常用漢字が用いられる新聞などでは「淋しい」が用いられるといことはありません。

なので、多くの場合は使い分けずに「寂しい」で統一することが多いようです。もしも迷ってしまった際は、「寂しい」を使用するようにしましょう。

「寂しい」「淋しい」の違いのまとめ

以上、「寂しい」「淋しい」の違いについての紹介でした。

上記の言葉を使用する際は、場面に適しているかどうかを見つめてみるといいでしょう。また、どうしてもわからない場合は、常用漢字の「寂しい」で統一するのも一つの手です。

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