「怖い」と「恐い」。読み方はまったく一緒なのですが、この二つの言葉には違いはあるのでしょうか。
- 「怖い」:①おそろしい。悪い結果が予想され、近寄りたくない。②人知でははかりがたい、すぐれた力がある。驚くべきである。
- 「恐い」:①おそろしい。悪い結果が予想され、近寄りたくない。②人知でははかりがたい、すぐれた力がある。驚くべきである。
引用:広辞苑
上記の通り意味は全く一緒で、どちらを使用しても正解です。しかし、世間では「怖い」の方が多く使われているようです。本記事ではその理由などをご紹介していきます。
「怖い」「恐い」の違いと使い分け
- 昔、交通事故にあってからというもの車が怖い。
- 上司に怒られるのではないかと考えると恐い。
どちらも恐れているという点で同じ意味です。しかし、1点だけ明確な違いがあります。
「怖い」は常用漢字のため一般的に広く使われている
「怖い」という漢字は常用漢字として定められています。よって、新聞記事では『日常一般に使われる標準的な分かりやすい口語体を使う(引用:共同通信社『記者ハンドブック』)』という観点からも「怖い」という漢字だけが使われているのです。
そのため、恐らく大多数の方が「怖い」という漢字を使われているのではないでしょうか。
「恐い」は常用漢字ではないが、相手へ畏敬の念を抱いているときに使用されることが多い
一方で、「恐い」は常用漢字ではありません。上記でも述べた通り、使う方も少ないのではないでしょうか。
しかし「恐」という漢字自体は、実は1300年以上前から使われているほど古いもの。最初に登場したのは、日本最古の歴史書(西暦712年に編纂された)と云われている「古事記」です。その文中で、天皇が神様に向かって「恐(かしこ)し。」(恐れ多いことです。)と言っている描写があるのですが、これは畏敬の念を抱いていることを表しています。その名残もあり、一昔前には手紙の文末に「かしこ(恐)」(恐れながら、これにて失礼します)とつけるのが一般的でした。
このように太古から使用されてきた「恐」という漢字は、時として相手を敬う際に使われてきました。そういった状況で使用すると良いでしょう。
「怖い」と「恐い」の用法例
「怖い」の使い方/用法例
- 昔、交通事故にあってからというもの車が怖い。
- 父に怒られるかと思うと怖い。
「恐い」の使い方/用法例
- 雷の轟きが恐い。
- 上司は恐い方です。
「怖い」と「恐い」の違いまとめ
「怖い」と「恐い」の言葉について紹介してきました。
- 「怖い」は常用漢字のため、一般的に使われている言葉
- 「恐い」は常用漢字ではない。但し言葉としては古くからあるもので、特に相手へ畏敬の念を抱く際に使うことが多い
どちらも意味は同一のため正解なのですが、ビジネスや学校で使うときには「怖い」の方が無難です。しかし、「恐」という漢字には古くから使われていることををおさえておきましょう。